村松事務所便り 2024年11月号(vol.250)

労働者不足の対処方法 ~厚生労働省の調査より

 厚生労働省の「労働経済動向調査(令和6年8月)の概況」(※)が公表されており、調査項目の1つとして、「労働者不足の対処方法に関する事項」が盛り込まれています。人手不足に悩む事業者(同調査では労働者が不足している事業所の割合は 80%に上る)にとっても参考になるものと思われます。(※)令和6年8月1日現在の状況について、令和6年8月1日~8月7日に調査。

◆労働者不足の対処方法

 過去1年間(令和5年8月~令和6年7月)に行った労働者不足への対処方法について、割合の大きかったものから順から見てみます。また、今後1年間(令和6年8月~令和7年7月)についての結果も見てみましょう。(いずれも複数回答)

【1位】「正社員等採用・正社員以外から正社員への登用の増加」(過去1年間 59%、今後1年間60%)。

【2位】「在職者の労働条件の改善(賃金)」(過去1年間55%、今後1年間48%)。

【3位】「臨時、パートタイムの増加」(過去1年間40%、今後1年間41%)

【4位】「派遣労働者の活用」(過去1年間38%、今後1年間35%)

【5位】「求人条件の緩和」(過去1年間 36%、今後1年間34%)
 求人条件の緩和内容としては、賃金、労働時間、休暇、学歴、必要資格・経験等の緩和が挙げられています。

【6位】「離転職の防止策の強化、又は再雇用制度、定年延長、継続雇用」(過去1年間34%、今後1年間36%)
 離転職の防止策としては、労務管理(労働条件以外の福利厚生、労使関係など)の改善や教育訓練の実施などが挙げられています。再雇用制度には定年退職者だけでなく、子育てのためにいったん退職した女性などを再雇用する仕組みも含まれています。

【7位】「在職者の労働条件の改善(賃金以外)」(過去1年間31%、今後1年間31%)
 在職者の労働条件の改善内容としては、休暇の取得促進、所定労働時間の削減、育児支援や復帰支援制度の充実などが挙げられています。

【8位】「配置転換・出向者の受入れ」(過去1年間25%、今後1年間24%)

【9位】「省力化投資による生産性の向上・外注化・下請化等」(過去1年間 16%、今後1年間19%)

【詳細は、厚生労働省「労働経済動向調査(令和6年8月)の概況」のサイトをご覧下さい。】

転職理由の真相と企業の対応策


◆「給与の低さ」が若年層の転職理由トップに
 厚生労働省の「若年者雇用実態調査」(令和5年)によると、若年労働者(満15~34歳の労働者)の前職の離職理由として最も多かったのは「給与の低さ」で 59.9%でした。特に 20~24 歳の年齢層では男性 64.6%、女性60.3%と高く、若年層の転職動機における給与の重要性が浮き彫りになっています。

◆「やりがい」と「スキルアップ」も重要な転職要因
 一方で、「仕事の内容が自分に合わない」(41.9%)や「自分の技能や能力を活かしたい」「責任のある仕事を任されたい」(33.8%)といったキャリアアップ・スキルアップでの理由も上位に来ています。これは、若年労働者が単に給与だけでなく、仕事の質や自己成長の機会も重視していることを示しています。
 企業側としては、給与水準の適正化だけでなく、従業員のキャリア開発やスキルアップの機会を提供することが、人材確保と定着率向上につながると言えるでしょう。また、入社時のミスマッチを防ぐために、採用プロセスでの職務内容の明確な説明や、入社後のフォローアップ体制の強化も重要です。
 いわゆる「ゆるブラックだ」、「自分が成長できない」ということでの人材流出につながらないよう、効果的な施策を考えていきたいですね。給与制度の設計から人材育成プログラムの構築、さらには採用戦略の立案など、これらの課題に対応するには、専門的な知識と経験が必要です。企業の競争力を高めるため、見直しを検討してみてはいかがでしょうか。
【詳細は、厚生労働省「令和5年 若年者雇用実態調査」のサイトをご覧ください。】

11 月1日から自転車の危険運転に罰則が科されます


◆道路交通法の改正
令和6年11月1日より、自転車の「運転中のながらスマホ」と「酒気帯び運転および幇助」に対して、新しく罰則が適用されます。

◆運転中のながらスマホ
自転車に乗りながら、スマートフォン等を手で保持して通話したり、画面を注視したりする行為が新たに禁止され、罰則の対象になります。
・違反者は、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金
・交通の危険を生じさせた場合は、1年以下の懲役または30万円以下の罰金

◆酒気帯び運転および幇助
酒気帯び運転のほか、酒類の提供や同乗・自転車の提供に対して新たに罰則が適用されます。
・違反者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金
・自転車の提供者は、3年以下の懲役または50 万円以下の罰金
・酒類の提供者・同乗者は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金

◆自転車運転者講習制度
上記は、「自転車運転者講習制度」の対象となります。また、交通の危険を生じさせるおそれのある一定の自転車運転の危険行為(信号無視や指定場所一時不停止、通行区分違反や安全運転義務違反等)を反復して行った者も講習制度の対象となります。
*受講命令違反は、5万円以下の罰金免許なしで誰でも乗れる自転車だからこそ、従業員が通勤や業務で自転車を使用する場合、十分に注意するよう喚起しましょう。
【警察庁「自転車の危険な運転に新しく罰則が整備されました」のサイトをご覧下さい】


当事務所よりひと言
今号(250号)の「村松事務所便り」から、今まで“紙”で郵送していた形を、郵送料の値上げに伴いまして、請求書等と一緒に電子化をしまして、送信する形といたしました。
併せて、弊事務所のウェブサイトもできました。今後も、情報発信をして参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。